第2次トランプ政権の対外関与と「4つの地域」をめぐる地政学的戦略(下)
2025年1月29日

トランプ時代のアメリカには、目指すべきアメリカのビジョンはあっても、目指すべき世界のビジョンはない[カリフォルニア州サン・イシドロ近郊の南部国境の壁沿いで、有刺鉄線を調整する米海兵隊員2025年1月27日](C)US Department of Defense/Lance Cpl. Caleb Goodwin/AFP=時事
4つの地域に向けたジオストラテジー
抑制主義者たちと優先主義者たちは、政策審議を重ねて、様々な国際安全保障問題への対応を検討していくことになる。政権発足初日に出された国家安全保障大統領覚書第1号(NSPM-1)は、国家安全保障会議(NSC)、閣僚級委員会(PC)、副長官級委員会(DC)、政策調整委員会(PCC)、ならびに関連事務局の業務や機能、手続きなどを明示した(https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/01/organization-of-the-national-security-council-and-subcommittees/)。従来からの制度に大きな変更はないが、NSCと国土安全保障会議(HSC)との緊密な連携を意識した制度と手続きが示されている。国家安全保障問題担当大統領補佐官ウォルツは、各省庁からNSC事務局に出向していたスタッフ160名あまりをNSCから離任させ、大統領のアメリカファーストのアジェンダの実現に完全にコミットする人材でNSC事務局を充当すると述べるなど、やはり忠誠心重視の姿勢が顕れた対応が取られている。ウォルツが長官級の集まる閣僚委員会、国家安全保障問題担当筆頭次席補佐官アレックス・ウォンが副長官級委員会、それぞれのとりまとめ役となって、各種政策の見直しや調整などを主導することになるはずである。
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