トランプのグリーンランド「所有と管理」発言でデンマークが直面する認知的不協和
2025年2月26日

19世紀以降の米国は、政治的かつ商業的な観点からグリーンランドの購入を画策し続けており、この点においてトランプの主張は決して異例ではない[グリーンランドを“プライベート”で訪問するドナルド・トランプJr.を乗せた航空機=2025年1月7日、グリーンランド・ヌーク空港](C)EPA=時事
はじめに
2024年12月、大統領就任を目前に控えたドナルド・トランプは、デンマーク領グリーンランドの「所有と管理」の重要性を改めて強調した。2019年に続く2度目の表明だった。デンマークは、自治領グリーンランドが、自国の主権とアメリカの勢力圏との狭間にあるという現実をふたたび突きつけられることとなった。特に、「デンマークは米国の決定に従うだろう(come along)」というトランプの発言は、その真意をめぐる疑念を呼び起こした(DR 2025)。これは単なる挑発的なレトリックではなく、デンマーク政治の中枢ではここ数年で最も深刻な外交危機と受け止められており、その影響は長期化すると予想されている。今、デンマークは自国の足元――すなわちグリーンランドとの関係――をいかに(再)定位するのかという重大な岐路に立たされている。
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