岩瀬昇のエネルギー通信 (173)

トランプ「グリーンランド買収」発言で注目される米中「レアアース」紛争

トランプ大統領自らがツイッターに投稿した合成写真
 

 2019年8月15日、ドナルド・トランプ米大統領が北欧デンマークの自治領グリーンランド買収の検討を事務方に指示した、とのニュースが流れた。

 デンマークおよびグリーンランド自治政府の首脳陣は、「エイプリルフールのような冗談だが、完全に季節外れだ」「ビジネスをすることはオープンだが、売りに出されているわけではない」などと即座に反応、一笑に付していた。

 8月18日、真意を問われたトランプ大統領は記者団に、「これは不動産取引だ」「戦略的に興味がある」「我々は、他の世界の多くの国と同様に、デンマークも守っている。そこからこの話が出てきた」などと語り、買収の意向を認めた。9月初旬にはデンマーク訪問が予定されており、その機会に交渉しようと考えているのだろう。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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