「コメ輸出8倍」計画のまやかし――国益を損なう農水省の「最も不健全なる思想」
2025年3月21日

政府は備蓄米のために500億円近くを費やしている[精米工場で袋から出される政府備蓄米=2025年3月18日午後、埼玉県内](C)時事
政府(農林水産省)がコメの輸出を今の8倍近い35万トンまで増やす目標を提案した。これについてマスコミの人たちから、減反を廃止して輸出を拡大するという私の提案が実現したのではないかという問い合わせがある。とんでもない誤解である。
まず報道された内容を紹介しよう。
「農水省は新たな農業政策の基本計画を改定し、パックご飯などを含めたコメの輸出量について、2030年に去年の8倍近く、35万トンの目標を新たに掲げる。国内がコメ不足に陥った場合は、国内への供給に回す。江藤(拓)農水大臣は、背景には去年から続いている令和のコメ騒動も影響しているとし、『輸出向けに作っていても、いつでも、コメだから国内向けにも振り向けられる』と述べた。供給力を強化することで食料安全保障を確保する狙いだ」(TBSテレビの報道から)
農水省はギリギリの生産調整(減反)政策を行ってきたため、昨年来深刻なコメ不足と米価高騰を招いたことを批判された。また、石破茂首相は自民党総裁選挙の際、コメの生産を拡大して輸出を増やすと発言してきた。これに対する一応の答えを出したのである。
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