メディアは「減額ペースの緩和」を見出しにとったが、実はQTはここからが本番[金融政策決定会合を終え記者会見する日銀の植田和男総裁=2025年6月17日](C)EPA=時事

 痛手を負っているのにしぶとい。スタグフレーション(不況下のインフレ)入りが取りざたされていたのに、「リング際の悪役レスラー」のような粘りをみせる米国の経済と市場。トランプ関税という逆風に直面する日本も、頼みの綱はそんな米国の地力かもしれない。

 警戒シグナルは点滅している。トランプ関税の影響で製造業の景況指数は低下傾向。おまけに6月13日にイスラエルがイランへの先制攻撃に踏み切ったことで、中東情勢は一気に緊迫化。ドナルド・トランプ米大統領がその後、イランに「無条件降伏(unconditional surrender!)」を求める最後通牒を突き付けたことで、いつ米国が参戦してもおかしくない雲行きになっている。

 経済と市場にとって悪いニュースには事欠かない。なのに、アトランタ連銀のGDPナウ(足元予測)では4~6月期の実質成長率の見通しは、6月18日時点で前期比年率3.4%となっている。米労働省の雇用統計でも5月の非農業部門就業者数は前月比で13.9万人増加した。米ミシガン大学が集計した6月の消費者マインド指数も、2024年1月以来の大幅上昇となった。

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