デンマーク国王が即位後1年も経たないうちに2度目のグリーンランド訪問を決行したことは異例だ[デンマーク国王フレデリク10世(左)とニールセン自治政府首相=2025年4月29日](C)AFP=時事
デンマーク国家は持続可能か
新国王による2度目のグリーンランド訪問を経ても、前自治政府首相のイーエゼが文化的ジェノサイドと糾弾した、冷戦期デンマークによる強制避妊や強制移住、さらには200年を超える植民地支配に対する清算や補償の問題は、いまだ多くの領域で解決されていない(DR 2025)。そして、何よりも、3月11日のグリーンランド自治議会選に候補者を擁立した6つの政党のうち5党は、進度の違いこそあれ、デンマークからの独立を掲げている(高橋2025c)。「現状維持は選択肢にない」(Sermitsiaq 2025b)——トランプの第一声が飛び出した2024年のクリスマスから、3月11日の選挙戦にかけて、グリーンランドで繰り返し掲げられていたスローガンも、今改めて想起したい。この限りでは、4月の国王とニールセンのツーショット(あるいはフレデリクセンとニールセン、イーエゼのスリーショット)が、問題の解決を意味しているわけではないことは明らかである。
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