一連の“口撃”を「TACO」と考えると見落としかねないものがある[トランプ大統領とパウエルFRB議長(右)](C)AFP=時事

「ベルサイユ宮殿並みの改修費」で圧力

利下げを望む人物を任命する」――ドナルド・トランプ大統領は6月27日、2026年5月に任期切れを迎えるジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任について、こう明言した。この発言は、トランプ氏と蜜月関係を築いた安倍晋三元首相が2013年1月、「大胆な金融緩和」を前提に、日本銀行の白川方明総裁の後任選びに着手した過去を彷彿とさせる。4月25日付の本コラムでも指摘したが、トランプ氏は中央銀行と政府の関係において、安倍氏の手法に学んでいるかのようだ。

 もっとも、安倍氏との違いも明らかで、トランプ氏の発言は朝令暮改で予見可能性は低い。4月22日に、パウエル氏を解任する意思はないと言及してから約2カ月で一転、パウエル氏への批判はトランプ氏だけでなく、政権内へ広がっていく。

 ビル・パルト米連邦住宅金融庁(FHFA)局長は7月2日、「パウエル氏の政治的偏向と、上院での虚偽の証言について調査するよう要請する。これは『(FRB議長の解任根拠となる)正当な理由』に値する」と記した書簡をXで公開した。FRB本部の改修費用25億ドル(約3700億円)について、パウエル氏が6月の米上院銀行委員会で「(改修に関する)メディアの報道は誤解を招き、不正確」と証言したことを問題視。米議会に調査を求めた。トランプ氏自身も同日、トゥルース・ソーシャルで「“遅過ぎ”(注:パウエル氏を指す)は直ちに辞任すべきだ!!!」と投稿するとともに、米議会による調査に賛同した。なお、米国家首都計画委員会(NCPC)は首都ワシントンD.C.にある連邦政府の施設や地域の開発について提案を審査するほか、米連邦建築物の設計に関し、権限を有する。

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