アジアのセクションでは経済重視の姿勢が表れている[APEC首脳会議のため訪れた韓国で米中首脳会談を行ったトランプ大統領(中央左)と習近平中国国家主席(中央右)=2025年10月30日、韓国・釜山](C)EPA=時事
ポストプライマシーの戦略
経済と並ぶ「絞り込まれた国益」の柱である本土の安全保障、すなわち本土防衛の最優先化は、ジョージ・ワシントン政権以来、すべての政権がやってきたことなので、なにも異例なことではない。第2次トランプ政権の地域関与については、これまでも本土・西半球が最優先化され、それに次いでインド太平洋、そして欧州・中東などが続くといわれてきた。事実、欧州と中東へのアメリカの軍事的関与を後退させる方針が示されたが、第Ⅳ章第3節に示された地域の序列化については、大きなサプライズはなかったといえよう。
■「関与を強化する地域」と「後退させる地域」を選別
むしろ興味深いのは、地域ごとに関与の論理と形態が大きく異なっているということであろう。世界各地で地政学的な影響力を確保し、貿易・投資・金融で経済的な優位を維持するプライマシーの戦略から、関与を強化する地域と後退させる地域を選別するポストプライマシーの戦略へと転換を図ろうとしている。これが思惑通りに進むかどうかはさておき、差し当たり注目すべき点として以下を挙げたい。
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