国家予算の無駄を洗い出すための政府の「事業仕分け」作業が十一月十一日から東京・市谷本村町の「国立印刷局市ケ谷センター」で続けられている。個別事業に対する評価が的確なのか、わずかな時間で事業の適否を仕分けられるのか、など多くの疑問点を抱えているものの、自民党政権時代にたまった官僚主導主義の垢を落とすという面では、一定の成果をあげつつある。また、鳩山政権にとって意義深いのは、現場での活発なやりとりが報道されることによって、無駄削減に向けた民主党の意気込みが国民に示されたことだろう。 だが、今回の事業仕分けは、民主党が掲げる「政治家主導体制」の確立という大方針に疑問を投げかける問題もはらんでいる。 十一月九日、事業仕分けの中心的存在と言ってもいい民間シンクタンク「構想日本」の加藤秀樹代表は東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見に応じた。加藤氏は事業仕分けを考案し先駆的に地方自治体で実践してきた人物として、鳩山内閣の目玉組織である行政刷新会議の事務局長に起用された。無駄削減に挑む鳩山政権の切り札的存在でもある。だが、加藤氏は記者会見でこう指摘した。「議会が行政に関する審議、チェック機能を十分果たしていたら、事業仕分けという形での勝手なおせっかいは、本当はいらなかった。現状では議会が十分に機能していない」

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