CIA工作員7人死亡 支局長は3児の母だった

執筆者:春名幹男2010年2月号

 米中央情報局(CIA)の本部正面玄関から入って、右側の壁には、いくつもの銀色の星が埋め込まれている。私が一九九〇年代に目撃した時には、その数は約六十だったが、現在はちょうど九十に増えている。 殉職したCIA職員の勇気を称えた象徴である。「われわれは国家防衛の第一線である。われわれは他の人たちがなし得ないことを達成し、他の人たちが行けないところに行く」と記した壁の下に、殉職者名簿が置かれている。なお名前を公開できない何人かは空欄のままだ。 昨年末の十二月三十日、パキスタンと国境を接するアフガニスタン東部ホスト州にある「チャップマン前進工作基地」で起きた自爆テロで死亡した七人のCIA工作員もやがて、あの壁で星になる。 一度にCIA職員が死亡した数としては、一九八三年四月十八日、ベイルートの米大使館爆破事件で死亡した八人に次ぐ。 今度の事件の死者数は当初八人と伝えられ、その後七人と訂正、さらに八人、と報道が二転三転した。だが、カタールのテレビ局アルジャジーラや欧米の新聞報道で、死者の身元などが伝えられ、CIAが展開していた秘密工作の実態や事件の真相が浮かび上がってきた。 死者数は自爆犯一人を含めて計九人。CIA工作員および契約工作員七人に加えて、CIAと行動を共にしていたとみられるヨルダンの情報機関、総合情報局の大尉一人が死亡した。

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