インテリジェンス・ナウ

CIA工作員7人死亡 支局長は3児の母だった

執筆者:春名幹男 2010年2月号
タグ: CIA
エリア: 北米 アジア

 米中央情報局(CIA)の本部正面玄関から入って、右側の壁には、いくつもの銀色の星が埋め込まれている。私が一九九〇年代に目撃した時には、その数は約六十だったが、現在はちょうど九十に増えている。 殉職したCIA職員の勇気を称えた象徴である。「われわれは国家防衛の第一線である。われわれは他の人たちがなし得ないことを達成し、他の人たちが行けないところに行く」と記した壁の下に、殉職者名簿が置かれている。なお名前を公開できない何人かは空欄のままだ。 昨年末の十二月三十日、パキスタンと国境を接するアフガニスタン東部ホスト州にある「チャップマン前進工作基地」で起きた自爆テロで死亡した七人のCIA工作員もやがて、あの壁で星になる。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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