影響力を強める反グローバリゼーションNGO

執筆者:田中明彦2000年5月号

 国内では北海道・有珠山の火山活動がおさまらず、依然として危険な状態が続くなどいくつかの問題があるが、世界的にみるといまのところそれほど大問題は見あたらない。政権についたばかりの森喜朗首相にとって、サミット前に自己紹介をするために行なった世界一周旅行の最中、大きな決断を迫られることがなかったのは幸いであった。

 七月のサミットまでに、世界的な重大問題が起こらないという保証はない。その場合、サミット議長国としていかなる定見のある対応をとるのかは、政権を担当する人々にとって常に心しておいてほしいことである。さらに、突発事態が起こらないにしても、二〇〇〇年という節目の年のサミットにおいて、世界の中長期課題にどのように取り組むかは、議長国としての日本の責任でもある。その意味でも、総選挙を控えた内政重視の季節ではあっても、政権を競う各政党には、それぞれ世界的問題への各党なりのビジョンを是非真剣に構築し、国民の前に示してほしい。

シアトル騒動仕掛人の主張

 そのような中長期課題としてはやや抽象的であるが、やはりグローバリゼーションをどのようなものと位置づけ、どのような世界的ガバナンスが必要かについて考えることは、真剣に取り組むべきテーマだろう。

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