南シナ海のスカボロー礁(中国名で黄岩島)海域で中国側とにらみ合い状態にあったフィリピン艦船は、6月17日、台風接近を理由にアキノ大統領から出された撤収命令を受け、同海域を離れたと報じられる。だが、事態が根本的に収拾したわけではない。南シナ海ほぼ全域を自らの領海と主張して憚らない中国の高圧的態度に対し、不快感を隠さない周辺関係各国という図式が解消されることは、当分の間はないだろう。
ところで中国に対し俄かに強硬姿勢に転じた感のあるアキノ大統領だが、どうやら強硬姿勢一辺倒というわけでもなく硬軟両方の姿勢をみせる。「硬」がスカボロー礁への艦船出動なら、さしずめ「軟」は歴代大統領の手法から学習した、華人企業家人脈を介在させた対中関係の打開への模索だろう。
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