アベノミクスの真価を占う「モラトリアム法」の後始末

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2013年3月14日
エリア: 日本
 ゾンビ企業対策に取り組むことが出来るか(c)時事
ゾンビ企業対策に取り組むことが出来るか(c)時事

 経済再生を標榜する安倍晋三内閣がいよいよ難題に取りかかる。民主党政権が残した最大のツケの1つ「中小企業金融円滑化法」いわゆる「金融モラトリアム法」の後始末だ。これに関連して、2月26日の参院本会議で中小企業の経営再建支援を目的とした「地域経済活性化支援機構」を設立する法案が成立。同機構は3月中にも業務を開始する。

 もっとも、設立と言っても一から新しい組織ができるわけではない。日本航空(JAL)の再生を手掛けた官民出資の再生ファンド「企業再生支援機構」を改組して、スタートする。3月末で切れるモラトリアム法によって資金繰り危機に直面する中小企業の再生処理を行なうのが主要業務になる。

 モラトリアム法は民主党に政権交代して金融担当相に就いた亀井静香・国民新党代表(当時)が強硬に導入を主張。2009年12月に時限立法として施行された。当初はリーマン・ショック後の企業の資金繰り難を救済するのが目的で、2011年3月末までの時限措置だったが、2度延長されていた。それがいよいよこの3月末で切れるわけだ。

 

モラトリアム法が切れれば5万-6万社が倒産

 この法律では中小企業などの要望があれば、できる限り返済条件の変更に応じるよう金融機関に求めている。当初は努力義務とみられていたが、金融担当相の指示による金融庁の指導もあって、条件変更が義務であるかのように運用されてきた。法律が施行された2009年12月から2012年9月末までに中小企業が申請した累計件数は369万8079件にのぼったが、そのうち343万7155件が実行された。93%が実行されたことになる。さらにこの条件見直しの対象となった債権額(融資額)は総額で95兆7391億円にのぼる。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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