参院選前に「アベノミクス効果」を分析してみる

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2013年7月12日
 街頭演説でも首相自ら“成果”を強調しているが……(C)時事
街頭演説でも首相自ら“成果”を強調しているが……(C)時事

「アベノミクスは株を持っている金持ちだけが潤っているのであって、庶民の生活はむしろ苦しくなっている」

 参議院議員選挙の選挙戦が始まって、野党によるアベノミクス批判のボルテージが上がっている。安倍晋三首相が進める経済政策はバブルを作るだけで実体経済を良くするわけではない、というのである。その際、しばしば使われるのが、消費が増えていると言っても百貨店で高級品が売れているだけで、スーパーの食料品など生活必需品は相変わらず売れていない、という批判だ。これは本当なのだろうか。

 

消費マインドは緩やかに変化

 日本百貨店協会の統計(店舗数調整前)をみると、確かに「美術・宝飾・貴金属 」の変化は劇的だ。対前年同月比で1月が5.3%増、2月が8.0%増だったものが、3月15.1%増→4月18.4%増→5月22.8%増とうなぎ登りに増えている。アベノミクスでムードが変わったことによって財布のヒモが緩んだのだろう。時計や宝石などが売れているのだ。株高によって資産が膨らみ消費におカネがまわる「資産効果」も生じているようにみえる。

 もっとも、百貨店全体の売り上げが大きく増えているわけではない。全商品合計の売り上げ増減は、1月1.0%減→2月0.3%減→3月3.3%増→4月0.7%減、5月2.4%増といった具合だ。こうみると、高級品だけが突出して売れているようにみえる。野党のアベノミクス批判が正しいのだろうか。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
comment:1
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順