「住宅着工の伸び」で問われるアベノミクスの真価

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2013年8月21日
エリア: 日本
 仮設住宅(右)の向かいに新築の住宅が立ち並ぶ(福島県いわき市) (C)時事
仮設住宅(右)の向かいに新築の住宅が立ち並ぶ(福島県いわき市) (C)時事

 景気回復の決め手とも言える住宅着工の伸びが顕著だ。このほど国土交通省が発表した今年上期(1-6月)の新設住宅着工戸数は45万1063戸と、前年同期比8.6%増えた。上期の伸び率としては、1996年上期の9%増以来の高さだった。東日本大震災の被災地での住宅建設が本格化し始めたほか、株価上昇による「資産効果」が不動産にも波及している模様。来年4月からの消費税率引き上げをにらんだ駆け込み需要も着工を押し上げているとみられる。

 住宅の新築は、住宅資材が必要になるばかりでなく、家具や家電製品の買い替えなどに直結する。また、とび職や大工、左官といった現場の人手が必要になるため、雇用吸収力も高く、 経済波及効果が大きいのだ。安倍晋三首相が掲げる経済政策「アベノミクス」による大胆な金融緩和の効果によって、消費が盛り上がりを見せているものの、本格的な景気回復に結びつくかどうかは、この住宅建設に火が点くかどうかにかかっている。果たして、上期の住宅着工の増加は本物なのだろうか。

 

東北でも本格化

 月別の新設住宅着工件数でみると、昨年9月から大幅なプラスに転じている。今年1-4月はひとケタの伸びだったが、5月は14.5%増、6月は15.3%増と大きく増えた。とくに目立つのが、宮城、福島、岩手など東日本大震災の被災県での住宅着工の伸び。5月に宮城で26.6%増、福島で11.1%増、岩手で20.2%増となったほか、6月は宮城で81.1%増、福島で46.8%増、岩手で16.4%増と大きな伸びになった。津波の被害が大きかった沿岸部などで瓦礫の処理が一段落し始めており、本格的に住宅再建が始まった効果が出ているとみられる。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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