「茶会党敗北」の怒りの矛先

足立正彦
執筆者:足立正彦 2013年10月21日
エリア: 北米

 連邦政府機関の一部閉鎖を解除するとともに、連邦政府の法定債務の上限についても引き上げる内容の法案が10月16日に上下両院本会議でそれぞれ賛成多数で可決された。バラク・オバマ大統領の署名を受けて成立し、米国債が債務不履行(デフォルト)に陥る状況は土壇場で回避された。今回の一連の与野党対立では、オバマ大統領もハリー・リード院内総務(ネヴァダ州)率いる上院民主党指導部も、2014会計年度予算(2013年10月1日-2014年9月30日)の暫定予算案で医療保険制度改革関連法(通称、オバマケア)の実施関連予算を削除したり、あるいは、先送りしたりすることを規定した条項を盛り込ませることは断固として認めない意向を当初から示していた。だが、ジョン・ベイナー下院議長(共和党、オハイオ州第8区)は、ティーパーティ(茶会党)支援勢力の支持を受けた保守派の共和党下院議員からの強い要求を受け入れる形で、ホワイトハウスや上院民主党指導部との全面対決に至った。

 

 ベイナー下院議長は、勝利できる展望などほとんどない戦略を推進し、連邦政府機関の一部を16日間停止させ、米国債をデフォルト直前にまで追い込んだ。だが、今回の与野党対立が決着した直後に公表された各種世論調査では、共和党の支持率が軒並み過去最低を記録した。ベイナー下院議長ら下院共和党指導部の戦略は、共和党の支持率低下を招くとともに、強硬派対穏健派という共和党内部の不協和音も露呈し、完全な敗北であった。最終的には、暫定予算案、連邦政府の法定債務の上限引き上げ、オバマケアのいずれについても共和党の要求や主張はほとんど通らない形で決着が図られたのである。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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