オバマ大統領の「レガシー作り」に足を引っ張られる米民主党

執筆者:足立正彦 2014年7月23日
エリア: 北米

 バラク・オバマ大統領は第2期目の就任演説の中で、気候変動という脅威に対応していく姿勢を鮮明にするなど、再選を果たした過去の歴代大統領と比較してもリベラル寄りの政策を前面に掲げた。2013年1月20日にスタートしてから早くも1年半が経過した第2期オバマ政権。3カ月余り先には中間選挙が控えており、民主党は上院での多数党の立場の維持と下院での4年ぶりの多数党復帰を目指し、現在全米各地で熾烈な選挙キャンペーンを展開している。

 オバマ大統領だけではなく、再選を果たした大統領が第2期目に考えることは、後世の歴史家らによる歴史的な評価や位置付けを意識した「業績 (レガシー)作り」である。近年ではロナルド・レーガン大統領は旧ソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長との軍縮交渉に積極的に取り組んだ。また、ビル・クリントン大統領は、内政面では長期の景気拡大局面をもたらして財政均衡を達成するとともに、外交面では中東和平に熱心に取り組んだ。対照的にジョージ・W.ブッシュ大統領は、政権1期目に開戦に踏み切ったアフガニスタンとイラクでの2つの戦争に大統領を離任するまで翻弄され続け、経済面でも離任4カ月前に発生したリーマンショックにより歴史的にも厳しい評価を受けることになった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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