饗宴外交の舞台裏 (200)

「官邸のおもてなし」で安倍首相が発信する「日本の食」

執筆者:西川恵 2015年1月19日
エリア: ヨーロッパ アジア

 安倍晋三首相は歴代首相の中で、最も熱心に日本の食文化と日本農産品のトップセールスに取り組んでいる首相と言っていいだろう。同首相になって官邸の饗宴が幾つかの点で変わったのもこのことと関係している。ある意味、官邸は外国首脳に向けた日本の食文化と農産品の発信拠点となっている。

 来日した外国首脳のだれの時は饗宴を持ち、だれの時には持たないと外交慣例で決まっているわけではない。ただこれまで非公式訪問の時は省かれることが多かった。

 しかし安倍首相は、「来日した外国首脳にはなるべく食事を差し上げよう」と官邸の事務方に指示している。それでなくても同首相のダイナミックな外交を反映して来日する外国首脳は多いから、饗宴は頻繁に持たれる。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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