株価急落「関西電力」が怯える“東電化”

執筆者:安西巧 2012年6月27日
タグ: 原発 日本
エリア: アジア

 関西電力が追いつめられている。八木誠社長(62)以下経営陣が切望した大飯原子力発電所(福井県)3号機、4号機の再稼働が野田佳彦首相(55)はじめ関係閣僚会合で正式に決定したのが6月16日土曜日。昨年3月の東京電力福島第1原発の事故以後、国内にある原発50基(事故を起こした福島1-4号機を除く)は定期検査を機に次々と運転を休止し、北海道電力泊原発3号機が5月5日に発電を停止して以来1カ月以上も「原発ゼロ」の状況が続いていた。ようやく叶った再稼働だったが、同社の株価は上がるどころか、逆に堰を切ったように急落。19日火曜日には、1984年以来、28年ぶりに1000円の大台を割ってしまった。投資家は収益基盤がメルトダウンしている関電に経営危機のにおいを感じ取っている。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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