例年、春先から夏にかけてインドのメディアは毎日のように「モンスーン」の動向を伝え、国民がこれに一喜一憂する。モンスーンとは6~9月にインド亜大陸を覆う低気圧による降雨のことだが、インド気象局(IMD)は6月上旬、今年のモンスーン期の降雨量が平年比マイナス12%という「干ばつ」に近いレベルになるとの予報を発表。農民だけでなくビジネス界や政府をも巻き込んだ騒ぎとなった。それというのも、農地の灌漑普及率が50%にも満たないインドではモンスーン期序盤の雨を待って種まきをするケースが多く、この時期に十分な雨が降らないと作付けや作物の生育が遅れて不作につながり、インド経済全体の足を引っ張りかねないからだ。

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