難民問題:「説得する独仏」と「反発する東欧」
ハンガリーとセルビアの国境にプラスチックの白い扉がある。その扉は1時間に1回だけ覆面をした警察官の手で開かれるが、それが何時なのかは分からない。そして1度にひと家族だけ難民をEU(欧州連合)内に、つまりハンガリーに招じ入れるや、すぐにその扉は閉まってしまう。しかも警察官たちはシリア人だけを扉の中に入れる。アフリカ人は入れない――。
今、このカフカの不条理の世界を思わせるような噂が、セルビアまでたどり着いた難民たちの間でまことしやかに流布しているという。現場の悲惨と絶望、そして微かな希望を伝えるリアルな現場の光景だ。
そんな中、激しい内戦のコンゴ民主共和国からの難民の一言は、「クロアチアは遠いのか」だった。ようやく紛争地から命からがら逃れてきた難民は、今度は北上して生活のために西・北欧の豊かな国を目指す。

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