大統領選が左右する「パイプライン計画」の行方

足立正彦
執筆者:足立正彦 2015年11月10日
エリア: 北米 中東

 オバマ大統領は第2期政権後半の自らの「業績(レガシー)づくり」の一環として、米国内の世論を二分していた北米のエネルギー関連プロジェクトについて重要な決定を下した。カナダ産の重質油をカナダ・アルバータ州から米国テキサス州メキシコ湾沿岸の製油施設まで輸送するため、アルバータ州のハーディスティからネブラスカ州のスティールシティ間を接続する1179マイル(1897km)の「キーストーンXL(KXL)パイプライン計画」について、オバマ大統領は11月6日、米国の国益にはならないとの理由で、計画申請の審査(レビュー)を行っていた国務省の「認可しない」との勧告に基づき、申請を却下すると正式に発表した(ホワイトハウス公表のオバマ大統領の声明参照)。

https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2015/11/06/statement-president-keystone-xl-pipeline

 

世論を二分した計画

 エネルギー・インフラ事業を展開しているカナダのトランスカナダ社が認可を求めていたこの「KXLパイプライン計画」は、2008年に同社が国務省に申請を行ってから既に7年以上が経過していた。この間、米国内では、民主党の有力支持基盤の1つである環境保護団体が、タールサンドから抽出された重質油の生産プロセスで温室効果ガス排出量が大幅に増大して気候変動をさらに助長することになるとし、反対キャンペーンを積極的に展開してきた。ビル・クリントン元大統領の首席補佐官を務め、第2期オバマ政権で約1年間大統領顧問に就任し、現在はヒラリー・クリントン前国務長官の選挙キャンペーンを総指揮しているジョン・ポデスタ氏も、この計画に反対する民主党有力者の1人である。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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