大統領選が左右する「パイプライン計画」の行方

執筆者:足立正彦 2015年11月10日
エリア: 北米 中東

 オバマ大統領は第2期政権後半の自らの「業績(レガシー)づくり」の一環として、米国内の世論を二分していた北米のエネルギー関連プロジェクトについて重要な決定を下した。カナダ産の重質油をカナダ・アルバータ州から米国テキサス州メキシコ湾沿岸の製油施設まで輸送するため、アルバータ州のハーディスティからネブラスカ州のスティールシティ間を接続する1179マイル(1897km)の「キーストーンXL(KXL)パイプライン計画」について、オバマ大統領は11月6日、米国の国益にはならないとの理由で、計画申請の審査(レビュー)を行っていた国務省の「認可しない」との勧告に基づき、申請を却下すると正式に発表した(ホワイトハウス公表のオバマ大統領の声明参照)。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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