サウジとエジプトの和解

執筆者:池内恵2017年4月25日

4月23日、エジプトのスィースィー大統領がサウジアラビアのリヤードを訪問した。空港でサルマーン国王による出迎えを受け、会談を行って、昨年の後半に疎遠になった両国関係の改善を演出した。

3月29日のアラブ連盟首脳会談(アンマン)の会議の脇で行われたサルマーン・スィースィー会談で関係改善が公式化され、その際に受けた招待に応じてスィースィー大統領がサウジ訪問を行った。過去1年間で激しい浮き沈みを経験したサウジ・エジプト関係は当分安定しそうだ。

2013年7月の、ムスリム同胞団のムルスィー大統領を放逐したスィースィー将軍によるクーデタをサウジは支援し、昨年4月のサルマーン国王のエジプト訪問で、サウジ・エジプト関係は強固なものになったかのように見えた。その際に調印された合意では、チラン海峡(ティラン海峡)に橋をかけて両国をつなぐ壮大な計画を掲げると共に、海峡の二島(ティラン島・サナーフィール島)のサウジへの帰属を認め、両国の領海を確定した。【これについて筆者がまとめたレポート

しかしこれがエジプトでは、サウジの経済援助の見返りに「島を売り渡す」ものだと批判を受け、裁判所でも国境を変更する合意の無効の判決が下された。今年1月に最高行政裁判所でも合意無効判決が確定し、かえって両国関係の障害となってしまった。

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