日韓外相会談に当たり、肘タッチを交わす林芳正外相(右)と韓国の朴振外相(7月18日)(C)時事

 韓国の朴振(パク・チン)外相は7月18日に訪日し、林芳正外相と会談した。韓国外相の訪日は2019年11月以来、約2年8カ月ぶりで、それ自体が日韓関係の冷却化を物語っていた。

具体策なしの外相会談

 朴振外相は会談で、元徴用工問題で差し押さえられた日本企業の資産が売却により現金化される前に、望ましい解決策を見いだせるよう努力すると表明。両外相は現金化の前に解決を図ることで一致し、両国間の協議を加速させる方針を確認した。

 飯倉公館で行われた会談は、夕食をまじえて2時間半に及んだが、通常はメディアに公開される冒頭の両外相の発言も、今回は取材を認めなかった。両外相の肘タッチでも笑顔はなかった。その背景には、韓国側に譲歩したと受け止められることを避けようとする、日本国内の保守派への配慮が窺えた。日韓関係の改善を目指す尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は、朴振外相の早期訪日を計画したが、結局は日本の参議院選挙後になったのも、日本側の慎重な姿勢の反映だった。

 韓国外務省によると、両外相は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や輸出規制といった問題の総合的解決を目指して協議した。さらに北朝鮮の核ミサイル脅威の増大などで日韓、日米韓協力の進展が重要との認識や、ロシアのウクライナ侵略を非難することでも一致したが、今回の会談の最大の課題は元徴用工問題の解決をどうするかだった。

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