8月4日、金振杓・韓国国会議長(右)との会談後、会見に臨むペロシ米下院議長(左)。尹錫悦大統領との対面での会談はなかった (C)EPA=時事

 今年は日中国交正常化50周年であると同時に、中韓国交正常化30周年の年でもある。中韓は8月24日、国交正常化30周年を迎えたが、祝賀の雰囲気はない。むしろ韓国は、米中対立の激化の中で、どういう選択をするべきなのか模索中だ。

 韓国の外交路線は、これまで「安米経中」と言われてきた。「安保は米国に、経済は中国に」軸足を置く政策だ。北朝鮮との軍事的な対峙の中で、米韓同盟を基本としながらも、経済では中国との関係を重視する路線であり、「外交・安保」と「経済」のバランス路線であった。

 韓国の経済発展を支えた大きな要素が、中韓貿易の急速な拡大にあったことは否定できない。中韓貿易額は、30年間で47倍の成長を遂げた。特に韓国の対中輸出は30年間で162倍になり、貿易黒字を積み上げてきた。さらに、文在寅(ムン・ジェイン)前政権で最優先課題であった北朝鮮との関係改善のために、北朝鮮に影響力を持つ中国との関係を重視してきた。

 しかし、今年5月に保守の尹錫悦(ユン・ソギョル)政権がスタートすると、米中対立の激化の中で、尹政権は前政権との違いを強調するように、米韓同盟の強化を打ち出した。米韓同盟の強化を掲げる尹政権の登場で、韓国も米国の対中包囲網に参加するのかとみられた。

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