「米韓同盟重視」に回帰、尹錫悦政権が強調した「半導体」と「拡大抑止」(上)

執筆者:平井久志 2022年6月5日
エリア: アジア
訪韓したバイデン大統領(左)が最初に足を向けたのはサムスン電子の半導体工場だった(右から4人目が尹錫悦大統領、右から3人目は李在鎔サムスン電子副会長)  (C)AFP=時事
韓国を中国から引き剥がしIPEFに取り込むこと――バイデン大統領アジア訪問の最初に韓国が選ばれた背景には、そうした米国の思惑があった。一方、前政権の対北宥和路線を転換する尹錫悦政権も、米国による「拡大抑止」を再確認しながらその期待に巧みに応じた。米韓首脳会談で鮮明化した同盟の変容に注目する。(後編はこちらのリンク先からお読みください)

 ジョー・バイデン大統領を乗せた米大統領の専用機「エアフォースワン」は、5月20日午後5時20分ごろ、韓国中部の烏山米空軍基地に到着した。まず訪問したのは韓国政府庁舎でも、軍事施設でも、米大使館でもなく、京畿道平沢にあるサムスン電子の半導体工場だった。この工場はサッカー場400面分の広さを持つ世界最大規模の半導体工場だ。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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