「米韓同盟重視」に回帰、尹錫悦政権が強調した「半導体」と「拡大抑止」(下)

執筆者:平井久志 2022年6月6日
エリア: アジア
在韓米軍は台湾・南シナ海関与の方向に向かうのか(烏山米空軍基地を訪問したバイデン大統領=5月22日)  (C)AFP=時事
米韓には「包括的戦略同盟」をさらに深化させる意識が覗いている。これは台湾や南シナ海への在韓米軍関与にまでつながるか。韓国の政権交代は東アジア情勢の大きな変化の要因だが、一方で韓国経済の中国依存は進み、北朝鮮の核ミサイル開発阻止も手詰まりとなっている。(前編はこちらのリンク先からお読みください)

共同声明に盛り込まれた「韓半島を越えて」という文言

 米韓首脳会談の共同声明には「グローバルな包括的戦略同盟:韓(朝鮮)半島を越えて」という章が設けられた。前述のように米韓間の「包括的戦略同盟」は既に確認された関係であり、これをさらにバージョンアップさせるために「グローバルな」という形容詞と「朝鮮半島を越えて」という言葉が加えられている。尹錫悦大統領の「より大きな地域的・世界的責任を受け入れるというイニシアティブ」の表明であり、気候変動問題、感染症対策、健康保健、インターネットの未来のための開かれた「ネットワークのためのネットワーク」育成、5Gおよび6G、サイバーセキュリティなどの協力を進めていくとされた。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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