NSS局長は諸外国NSCに対するカウンターパート役を務める[訪中して楊潔篪・共産党政治局員と会談した秋葉剛男・NSS局長(左)=国家安全保障局が8月18日提供] (C)AFP=時事 

 2014年のマレーシア航空17便撃墜事件では、自衛隊機が捜索救助活動をおこなったが、当時のNSS次長だった兼原信克氏によると、NSCに諮ったことでこれまでにないスピードで決定が下ったという。

 また、スタッフ組織の強化にも意義を見出せる。新設されたNSS局長は、内閣官房副長官に準ずる内閣危機管理監(危機管理に関する実務トップ)と同格として、従来の内閣安全保障部門のスタッフ組織のトップであった安全保障・危機管理担当の内閣官房副長官補(事務次官級)より格上に位置づけられた。

 そして同局長が、米国家安全保障問題担当大統領補佐官をはじめ、諸外国のNSCの対外的窓口のカウンターパートとして明確化された。歴代のNSS局長は頻繁に外遊している。NSS設置以前には、危機管理も担当する内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)が外遊することは不可能であった。8月の秋葉=楊会談が可能であったのにも、こうした文脈がある。

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