マイケル・フリン国家安全保障問題担当大統領補佐官のロシアとの関係をめぐっての辞任と、その後任選びの難航で、トランプ政権の中東政策の不透明感は増している。

しかしCIAによる対テロ政策の国際協力は前政権期からの一貫性を示しているようだ。マイク・ポンペオCIA長官2月8日にトルコを訪問10日にはサウジアラビアを訪問し、中東での従来からのテロ対策のパートナーとの関係の継続を確認した模様だ。

興味深いのは、それによってサウジアラビアではムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子・内相に光が当たる形になったことだ。ポンペオ長官はムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子・内相に、永年のテロ対策への貢献を理由に、ジョージ・テネット勲章を授与した。当然これは、サウジメディアでも報じられることになった。

なぜ皇太子で内相に光が当たるのが興味深いかというと、サウジではサルマーン国王の寵愛する子息ムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子への権力集中と、ムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子の存在感の低下が2015年1月のサルマーン国王就任以来進んだ。そのため一時は、「皇太子を更迭して副皇太子が皇太子に繰り上がる」あるいは一足飛びに「サルマーン国王が実子の副皇太子に譲位する」といった説も2016年の前半には乱れ飛んだ。なぜか副皇太子が皇太子を差し置いてサウジ国家を代表する場面が増え、皇太子の露出が極端に減った。

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