3月22日のロンドン・ウェストミンスターでの乗用車による無差別轢殺・ナイフによる襲撃4月3日のロシア・サンクトペテルブルクの地下鉄での自爆、そして4月7日のスウェーデン・ストックホルム中心部遊歩道(Drottninggatan)へのトラック突入と無差別轢殺、といったグローバル・ジハードの事象が各地で生じている。いずれも首都・主要都市中心部の、人が集まる、名の通った場所での犯行であることから、メディアの注目度も高く、社会に及ぼす脅威認識の度も高い。

フォーサイトへの寄稿では、2013年4月15日のボストン・マラソン・テロに際し、このような個人・小組織による自発的な分散型のジハードのメカニズムの所在を研究に基づき指摘しておいたが、あたかも「社会実験」のように事例が積み重なっている。

これらの事件は、「イスラーム国」に共鳴した犯行とも疑われるが、一部で「イスラーム国」側のメディアが曖昧な声明を出しているのみで、直接の関係、組織的繋がり、指揮命令系統の存在はいずれも不明である。

欧州でテロが起こると、メディアの報道における関心は「イスラーム国」に関係があるか否かに集中しがちだが、的外れである。実態は「イスラーム国と繋がりがあるから」問題なのではなく「イスラーム国と繋がりがあってもなくても」このような事件が断続的に生じているが故に、問題なのである。

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