ロイターが8月22日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが、喧伝されていた新規株式公開(IPO)を断念し、ファイナンシャルアドバイザーの投資銀行チームを解散した、と伝えた。ロンドンやニューヨークでの国際的な公開も、国内市場の公開もいずれも計画が中止されたとされる。

翌23日、サウジのハーリド・ファーリハ・エネルギー相はこの報道を否定して見せているが、市場ではなし崩しに事実と認定されていき、関心は善後策移っていくだろう

ただしこのIPOの実現可能性には早くから疑問符が付されており、度重なる「延期」が伝えられる中、事実上の棚上げが取り沙汰されてきた。(参考:池内恵「サウジアラムコのIPOは迷走の末ついに棚上げか」2017年10月14日

その意味で、IPO断念は「織り込み済み」の情報とは言えるが、サウジアラムコのIPOは、ムハンマド皇太子が副皇太子時代の2016年4月に打ち出した「ヴィジョン2030」の実現可能性の資金的根拠としても、改革の規模・深度・本気度を示すものとしても、象徴的に大きかった。そのため、IPOの断念が報道されることの持つ、象徴的な意味は大きい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。