南アフリカで出合った絶品マグロ(筆者撮影、以下同)

 

「世界一治安が悪い国」との悪名が響きわたる南アフリカ。最大都市ヨハネスブルグより多少はマシと聞いていたが、同国で最初に植民地となった海運の要衝・ケープタウンの夜は、なかなかとてもスリリングだった。

 空港のレンタカーショップの店員さんにも、市内の住宅街で借りたウィークリーマンションの家主さんにも、「夜はなるべくダウンタウンを歩かないように」と真顔で警告された。

 この街ですぐに気づいたのは、日本より2~3時間、夕方の道路混雑のピークが早いことだ。夕方が近づいてくると、みんな仕事をしているダウンタウンから先を争って郊外の家に帰っていく。バスのような公共交通機関でさえ危ないらしく、多くの人が自家用車を使っているため、毎日午後4時から5時にかけて市内は大渋滞になる。

 もともと夜遅くまで出歩かない英国やオランダからの移民が作った街なので、夜は早い方ではあったのだが、最近はどんどん帰宅時間が早まっているらしい。とにかく日が暮れる前に、いそいそとおっかない場所から逃げ出していくように見える。

 危ない危ないと言われていても、普通は現地で「言われるほどでもないよ」という感じになるのだけれど、ケープタウンでは、むしろ聞いていたよりもずっとやばい感じがもやもやと漂っていた。

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