【マレー半島】華人の過酷な労働を支えた栄養満点の肉骨茶(パクテー)
2018年10月26日

老舗「亜華肉骨茶」の肉骨茶(筆者撮影、以下同)
料理には、食べる人の社会階層も深く関わっている。現代においては誰でも食べられる郷土料理でも、かつては特定の集団が特定の場所で、特定の理由をもって生み出したものが珍しくない。
その1つが、シンガポールやマレーシアのあるマレー半島で食べられている「肉骨茶」という料理だ。私にとっては、マレー半島を訪れるたびに味わわないではいられない「必食」の1品である。
料理にはしばしば歴史が宿るものだが、この肉骨茶はマレー半島のチャイニーズ・ヒストリーを強烈に映し出す。
煮込んだ骨付き豚肉が塊ごと……
名前も強烈なら、味も強烈だ。「肉骨」というだけあって、徹底的に煮込み、胡椒で味付けされた骨付きの豚肉が、肉の塊ごとスープに入って出てくる。それに醤油をとろりと甘辛く煮詰めた「醤油膏」と呼ばれる調味料と唐辛子をこれでもかというほど混ぜ込んで、白飯と一緒に食べていく。
スープを飲んでいると舌にぴりぴりと胡椒の刺激が伝わってくる。醤油ラーメンにたっぷり胡椒を振りかけ、麺を食べきったあと、丼の底にたまった胡椒ごとスープを飲み干す時の感覚によく似ている。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。