イスタンブールの美しい街並みを背にする筆者

 

 これほど美しい都市には滅多に出会えない。少しキザな言い方をすれば、やっと出会えた。なぜ今の今まで訪れなかったのか、という後悔の念も湧いた。

 中東の大国・トルコ。その顔であるイスタンブールは、西洋と東洋が交わる場所とも言われる。マルマラ海とボスフォラス海峡、金角湾が交差する海を、船とカモメが行き交う。 

 イスタンブールの美は動態的な輝きであり、1枚の写真や絵画に容易に収まるものではない。アジア側とヨーロッパ側を行き来する連絡船の上から見ても、ヨーロッパ側の新市街にある「世界最古の塔の1つ」とされるガラタ塔から見ても、イスタンブールの美しさは完璧であった。

 15世紀、台頭するオスマントルコが東ローマ帝国の皇帝が立て籠もる防壁を大砲と巨大戦力で攻略した「コンスタンティノープルの陥落」は、ここが舞台だ。イスタンブールは世界史の古戦場でありながら、現在も都市として成長を続けている。

トルコを襲うリラ安

1ドル=6.3リラを示す為替の表示ボード(筆者撮影、以下同)

 私が訪れた時、トルコ全体をリラ安の暗雲が覆っていた。『BBC』や『CNN』を通して私たちに伝えられる内容と大きく違って、ニュースの裏側では、トルコの人々の多くがドナルド・トランプ米大統領とイスラエルの結託によるトルコいじめの結果である、という意見だった。

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