インカ帝国の「酒造基地」だったマチュピチュ(筆者撮影、以下同)

 

 トウモロコシほど、私たちの生活に根付いた食物も少ない。なかでも茹でたてのトウモロコシは、これにかぶりつく瞬間を思うだけでよだれが口の中に広がってしまう、定番の味覚。焼きトウモロコシもいい。香ばしい焼けた匂いがたまらない。ファミレスで知ったまろやかなコーンスープも、子供のころから親しんできた味である。

 トウモロコシは、ヨーロッパの「新大陸発見」という名の「侵略」で、世界に広がった食物である。私は、古代インカ帝国が生んだ「空中都市」、ペルーのマチュピチュへ、そのトウモロコシの原点を探るために向かった。

クスコから鉄道でマチュピチュへ

 世界遺産の代名詞のようなマチュピチュへの出発点は、これも世界遺産である古代都市・クスコである。クスコはインカ帝国の王都であった。高度で言えば、クスコが標高3400メートルで、マチュピチュは標高約2400メートル。クスコには、ペルーの首都・リマから飛行機で入るのが一般的だ。リマは海抜ほぼゼロの低地なので、いきなり富士山の頂上並みのところに飛行機で降り立つことになり、高山病にかかってしまう人が多い。

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