世界漫遊「食考学」の旅 (8)

【ペルー・マチュピチュ】悲しきインカのトウモロコシ

執筆者:野嶋剛 2018年11月23日
エリア: 中南米
インカ帝国の「酒造基地」だったマチュピチュ(筆者撮影、以下同)

 

 トウモロコシほど、私たちの生活に根付いた食物も少ない。なかでも茹でたてのトウモロコシは、これにかぶりつく瞬間を思うだけでよだれが口の中に広がってしまう、定番の味覚。焼きトウモロコシもいい。香ばしい焼けた匂いがたまらない。ファミレスで知ったまろやかなコーンスープも、子供のころから親しんできた味である。

 トウモロコシは、ヨーロッパの「新大陸発見」という名の「侵略」で、世界に広がった食物である。私は、古代インカ帝国が生んだ「空中都市」、ペルーのマチュピチュへ、そのトウモロコシの原点を探るために向かった。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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