世界漫遊「食考学」の旅 (22)

【沖縄・与那国】「国境の西」台湾を望む島でカジキを食う

執筆者:野嶋剛 2019年8月30日
エリア: アジア
脂の乗ったカジキのソテー(筆者撮影、以下同)

 

 村上春樹の恋愛小説『国境の南、太陽の西』のタイトルのもとになったのが、アメリカの南側にあるメキシコのことを歌ったナット・キング・コールの名曲『国境の南』である。

 東京から最も遠い離島の1つ、沖縄県の与那国島。さとうきび畑に囲まれた小さな空港に降り立った時、思い出したのは「国境の西」にある台湾のことだ。与那国は日本最南端ではなく(最南端は波照間島)、最西端にあたる。それから西に、日本の領土はない。与那国で見届ける夕焼けは、日本でその日に見られる最後の太陽になる。

カテゴリ: カルチャー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top