米国「対中インド洋戦略」の要衝「ディエゴ・ガルシア基地」に勃発した帰属問題
2019年8月27日

ディエゴ・ガルシア基地に並ぶ米軍の爆撃機(C)AFP=時事
「真珠の首飾り戦略」――。
中国が東シナ海、南シナ海だけでなく、マラッカ海峡からインド洋を経てアフリカ東岸まで及ぶ広大な地域に次々と拠点を築いていく様子が、インドを取り囲む真珠の首飾りのように見えるところからそう呼ばれる、中国の海洋進出戦略である。
中国が「一帯一路」プロジェクトの下に各国に巨額の資金を貸し付け、借金のカタに港湾運営権などを手に入れ勢力を拡大している現状は、昨年10月29日の野口東秀氏による『「一帯一路」で中国「債務の罠」に蝕まれる世界の実情』(上)・(下)に詳しい。
「自由で開かれたインド太平洋戦略」構想を想起するまでもなく、インド洋はペルシャ湾やマラッカ海峡の間に位置する石油や物資の主要な輸送ルートであり、日本にとってもこの海域の安全と安定は重要な関心事項である。
国際司法裁判所が“勧告”

インド洋の中央に位置ずるディエゴ・ガルシア
とりわけこの海域で大きな存在感を示しているのが、インド洋のど真ん中に位置する英国領ディエゴ・ガルシア島の米軍基地である(正確には米英共同基地)。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。