求めるのは「プライバシー」か「管理社会」か

執筆者:野口悠紀雄2019年10月17日

 仮想通貨のリブラに対して、さまざまな危惧が表明されている。代表的なものは、つぎの2つだ。

 第1は、マネーロンダリング等の不正取引に利用される危険性。第2は、取引情報が不正に利用されたり、取引情報が漏洩したりする危険性だ。

 これらに対する答えは、仮想通貨がどのような仕組みで運営されるかにかかっている。これについて、以下に述べよう。

ブロックチェーンの仕組み

 第2回『「電子マネー」でないリブラ「仮想通貨」としての「重要性」』で述べたように、仮想通貨は「ブロックチェーン」という仕組みで運営される。

「ブロック」とは、通貨の取引情報を格納する箱のようなものだ。ビットコインの場合には、約10分ごとに1つのブロックが作られ、ここに全世界のビットコインの取引が記録される。

 そして、ブロックを時間順につなげていく。それが鎖のようになるので、「ブロックチェーン」と呼んでいるのだ。

 記録作業を行うコンピュータは、「マイナー」とか「ノード」と呼ばれる。これらのコンピュータの集まりによってブロックチェーンが運営される。

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