新・マネーの魔術史:未来篇 (2)

「電子マネー」でないリブラ「仮想通貨」としての「重要性」

執筆者:野口悠紀雄 2019年9月26日
タグ: 中国 日本

 

 Facebookが発行を計画している「リブラ」は、ブロックチェーンで運営される仮想通貨だ。さまざまな面で電子マネーより優れた特性を持っている。現存の金融システムに対する重大な脅威となる可能性があるのは、このためだ。

電子マネーは銀行システムの中にある

「リブラが重要視される第1の理由は、利用者の規模がきわめて大きくなりうることだ」と、第1回で述べた。

 第2の理由は、「リブラは電子マネーではなく、仮想通貨だ」ということだ。この違いは重要だ。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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