新・マネーの魔術史:未来篇 (5)

求めるのは「プライバシー」か「管理社会」か

執筆者:野口悠紀雄 2019年10月17日

 仮想通貨のリブラに対して、さまざまな危惧が表明されている。代表的なものは、つぎの2つだ。

 第1は、マネーロンダリング等の不正取引に利用される危険性。第2は、取引情報が不正に利用されたり、取引情報が漏洩したりする危険性だ。

 これらに対する答えは、仮想通貨がどのような仕組みで運営されるかにかかっている。これについて、以下に述べよう。

ブロックチェーンの仕組み

 第2回『「電子マネー」でないリブラ「仮想通貨」としての「重要性」』で述べたように、仮想通貨は「ブロックチェーン」という仕組みで運営される。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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