仮想通貨リブラに対する規制当局の締め付けが、強まっている。

 他方で、中国人民銀行(PBOC)によるデジタル人民元の発行が間近だと報道されている。

 このままだと、世界の通貨主権は中国が握ることになってしまう可能性がある。

強まるリブラへの警戒

 10月18日、仮想通貨リブラについて、G7(先進7カ国)作業部会が報告書を公表した。リブラは各国の金融政策や通貨システムの安定を揺るがすリスクになる可能性があると指摘し、懸念を示した。

 続いて、G20(20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議では、リブラを当面認めないと合意した。

 このように、世界中の金融機関、中央銀行がリブラに対して強い警戒感を示したわけだ。これによってリブラの発行が遅れることは避けられない。

 また、連載第6回(2019年10月24日『容易ではない仮想通貨「リブラ」の「価格安定化」』)で指摘したように、ステーブルコイン(価格が安定化した仮想通貨)の実現は容易な課題ではないので、こうした制約がなくても、リブラの早期実現は難しいと思われる。

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