『水道崩壊』世界の「いま」日本の「これから」(6)公営か民営か
2020年1月11日

道路下などに埋設されている上水道管の工事は大掛かりになりがち(写真はイメージです)
2019(令和元)年10月1日、日本では改正水道法が施行された。
世間ではこの法律を「水道民営化法」と呼び、電電公社からNTTへ(通信)、国鉄からJRへ(鉄道)、また郵政公社から日本郵便(JP)などへと続く民営化の流れが、ついに水道事業にまで及ぶと国民の関心を買った。
しかしこの法改正には、「水道民営化法」という名称とは裏腹に、実は、前回イギリスのケースを考えた際に触れたエクイティについては含まれていない(2019年12月21日『(5)イギリス人が手を焼く水道』参照)。
エクイティとは、対象となる水道事業全体を、使用・収益・処分するための包括的な権利を指す。民間企業はこうした権利を株式と呼び、実際に水道事業が民営化されれば、エクイティ=株式となる。我々が東京証券取引所を通じて、NTTやJR、またJPの株式を購入することができるのはこのためだ。
この法律には、第2回で触れた水道関連の資産情報データベース(すなわち台帳管理)の導入を後押しし、コンセッションを推進する内容が盛り込まれている(2019年11月9日『(2)朽ちる水道管』参照)。
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