月刊の国際政治経済情報誌として1990年3月に誕生した『フォーサイト』は2010年9月にWEB版として生まれ変わり、この9月で10周年を迎えました。

 これを記念し、月刊誌の時代から『フォーサイト』にて各国・地域・テーマの最先端の動きを分析し続けてきた常連筆者10名の方々に、この10年の情勢の変化を簡潔にまとめていただきました。題して「フォーサイトで辿る変遷10年」。平日正午に順次アップロードしていきます(筆者名で50音順)。

 第6回は【ロシア】名越健郎さんです。

 

 ロシアのこの10年は、プーチン政権の国粋主義化に拍車がかかり、西側にとって「ロシアの脅威」が増した10年だった。ウラジーミル・プーチン大統領が20年前に登場した時はプラグマチックな改革派とみられたが、今日、すっかり保守イデオローグとなってしまった。

 それは、プーチン氏本来の体質というより、欧米との相次ぐ対立に突発的な対処を重ねた結果、変貌したとみるべきだろう。米国のロシア専門家、キンバリー・マーチン・バーナード大教授は、

「プーチンが好む柔道やアイスホッケーは、相手の出方に応じて咄嗟に判断する戦術的スポーツ。チェスをしないプーチンは戦略家ではなく、場当たり的決定の多い戦術家だ」

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。