3月18日のプーチン大統領のウクライナ領クリミア併合演説は、議員らのスタンディングオベーションで歓迎され、涙を流したり抱き合う議員もいた。大統領が「世論調査では、95%の国民が併合を支持している」と述べたように、ロシア全土が一種のユーフォリア(陶酔)状態だ。ソチ五輪成功で高揚する民族愛国主義が異様なほど高まり、プーチン大統領への個人崇拝の動きもみられる。全国で併合祝賀集会が開かれ、北方領土の国後島でもクリミア連帯集会が行われた。メルケル独首相はオバマ米大統領に対し、「プーチン大統領は別世界に住んでいるようだ」と述べたらしいが、大統領から国民まで陶酔状態ではまともな交渉はできそうもない。

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