油価水準をめぐるロシアとサウジの利害不一致も潜在リスクだ(ロシアのアレクサンダー・ノヴァク副首相とサウジのアブドラアジーズ・ビン・サルマーン・エネルギー相=2020年12月撮影) ⓒAFP=時事

「OPECプラス」が妥協案に合意した(たとえば『Financial Times』2021年7月18日「Opec+ reaches deal to raise oil production」参照)。

 前回本欄でご紹介したように、7月5日の第18回「OPECおよび非OPEC閣僚会合」(OPEC and Non-OPEC Ministerial Meeting=ONOMM)は合意に達することができず、中止となっていた。翌日にはサウジアラビア(サウジ)が8月販売価格の通知を行い、妥協の余地がない姿勢を打ち出していたため、成り行きが心配されていたものだ(2021年7月4日『OPECプラスでまた衝突「サウジvs.UAE」の火種と減産延長はどうなるか』、および2021年7月11日『米シェール企業「巨額のヘッジ損失」で陥りがちな「誤解」とは』)。

 端的に言えば、サウジとUAE(アラブ首長国連邦)の間に吹いている「すきま風」が「GCC」(Gulf Cooperation Council=湾岸協力会議)や「OPEC」(石油輸出国機構)そのものを崩壊させるほどにまで吹き荒れてしまうのか、という懸念だった。

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