ミャンマー西部・ラカイン州でのワクチン接種の様子。ワクチンはシノファーム(中国)製だ (C)EPA=時事

 2月1日にミャンマーでクーデターが発生してから、半年が経った。苛烈な抑圧によって945人の犠牲者と7000人以上の拘束者が出たミャンマーでは、現在は新型コロナウイルスの被害も甚大になっている。社会的機能の低下が、被害を大きくしていることは言うまでもない。国軍が医療資源を独占したり、反国軍派の市民を治療する医療従事者を攻撃したりする異常事態も報じられている。

 ミャンマーについては、危機の初期段階から人道的惨禍の恐れが指摘されていた。私も、人道援助こそが、国際社会が尽力しなければならない領域だと書いてきた。特に日本は、政治介入を嫌うのであれば、なおさら人道援助に力を入れるべきだ、と主張してきた(2021年6月24日『巧妙に続くミャンマー国軍「恐怖支配」に日本が果たすべき「責任」』)。この要請は、デルタ株が予想を上回るスピードで拡散した新型コロナ危機の深刻化によって、いっそう強まっている。

 ここであらためて、新型コロナが世界各地に与えている影響を概観したうえで、ミャンマーにおける国際的な人道援助が直面している困難と日本の立場について、考えてみたい。

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