2005年9月、ニューヨークでの国連首脳会議で「テロリストは、世界が団結して彼らと戦うことを知らなければならない」と強調し、対テロ戦争への協力を呼び掛けたブッシュ米大統領(当時)(C)EPA=時事

 アメリカが20年間にわたるアフガニスタンでの駐留を終えた。アメリカのアフガニスタンでの戦闘作戦はこれで終わったのかもしれない。だが対テロ戦争は終わっていない。

 タリバン政権の復活で、アフガニスタンが国際テロ活動の温床になる可能性が残り続けることは、言うまでもない。だが、本質はそこではない。2001年にアフガニスタンから始まった「世界的なテロとの戦い(Global War on Terrorism: GWOT)」としての「対テロ戦争」は、さらにいっそうの地理的な広がりを見せながら、続行中である。

 アメリカのアフガニスタン撤退後に、この「対テロ戦争」が、どのような展開を見せていくのか。大きな問いである。

防衛ラインの再設定を行ったアメリカ

 まず2001年に始まった「対テロ戦争」の基本的な特徴を確認しておこう。

 テロ事件が2001年より前になかったわけではない。「アル・カイダ」によるアメリカに対する攻撃に限っても、20世紀の間にすでに始まっていた。ニューヨークの世界貿易センタービルは1993年に地下駐車場の爆破事件に襲われていたし、1998年にはケニアとタンザニアの米国大使館が爆破され、アメリカが「アル・カイダ」勢力の潜伏先と断定したスーダンとアフガニスタンに、報復のミサイル攻撃を行った事件もあった。

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