財政規律の議論にタブーがあってはならないはず ⓒ時事

「このままでは国家財政は破綻する」と題した矢野康治・財務省事務次官の論文が月刊誌『文藝春秋』に掲載され、各方面に波紋を広げている。激しく反応したのは、新しく自民党の政調会長になった高市早苗氏だ。

 10月10日のNHK「日曜討論」で、矢野氏が各党の政策論争を「バラマキ合戦」と指摘したことを問われ「大変失礼な言い方だ。基礎的な財政収支にこだわって、いま本当に困っている方を助けない、それから未来を担う子供たちに投資しない、これほどバカげた話はない」と述べた。高市氏は11日のBS日テレの番組でも「全国会議員がバカにされたような話」と重ねて批判した。総選挙を前に、党の政策責任者としての面目をつぶされたという怒りがみてとれる。

 矢野氏に対しては「安倍(晋三元首相)一派からの風当たりが強くなっている」(同省関係者)。安倍元首相が「間違った主張で、ああいった形で発表するのは非常識だ」と周囲に漏らしたという話もある。安倍氏に近い百田尚樹氏のYouTubeチャンネルなどに出演している有本香氏は、12日朝のラジオ放送で、2008年に航空幕僚長だった田母神俊雄氏が政府見解と反する論文を発表し更迭された件を引き合いに出し、「官僚の矩(のり)をこえている。更迭すべき」などと述べた。

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